作品制作の参考になる、
美術館のスタイリッシュなロゴを
まとめました。
ロゴデザインの特徴や魅力を、
グラフィックデザインの
知識や技術を活かし、
アーティストとして活動する私の視点から
分かりやすく解説します。
この記事でピックアップさせていただく
5つの美術館のロゴはどれも
見た目がかっこいいというだけでなく、
ロゴが出来上がるまでの
ストーリーやコンセプトが
参考になるものばかりですので、
ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
国立新美術館のロゴデザイン
引用:KASHIWA SATO
まず初めにご紹介させていただくのは、
国立新美術館のロゴです。
シンボルマーク・ロゴタイプの
デザインを手がけたのは、
クリエイティブディレクターの
佐藤可士和さんです。
シンボルマーク・ロゴタイプは、
特にこれまで美術に関心のなかった
人々にも親しみやすく、馴染みやすい
存在になることを目指し、
「新」という漢字がモチーフになっています。
開かれた「新しい場」という意味を込め、
全ての角は閉じておらず、開かれています。
直線と曲線の融合でできたこの文字は、
国立新美術館の建築の特徴である
曲線のガラスカーテンウォールと、
直線で構成される展示スペースが
融合している形状を彷彿とさせ、
建築の特徴がロゴに見事に反映されています。
引用:KASHIWA SATO
建築で黒川紀章さんが採用なさった、
「緋色と消し灰色」を
ロゴの基本色に定めていますが、
運用に際しての展開色は無限としており、
コレクションによって性格を規定されない、
国立新美術館ならではの
カラーリング戦略をとっています。
ロゴに込められた意味を知ってから
改めてロゴを見てみると、
より凄さがわかりますね。
サントリー美術館のロゴデザイン
引用:SUN-AD サン・アド
サントリー美術館の
ロゴデザインを手掛けたのは、
広告制作プロダクション、
株式会社SUN-ADです。
このロゴマークの
モチーフになっているものは
何だと思いますか?
正解は、
ひらがなの「み」です。
ひらがなの「み」は元々漢字の
「美」からできており、
「み」は日本人の知恵や美しいものを
大切にする心を表しています。
サントリー美術館の
ミュージアムメッセージ、
「美を結ぶ。美をひらく。」
からヒントを得て生まれたこちらのロゴ。
サントリー美術館が収蔵する紙巻、
「浄瑠璃物語絵巻」の中から
「み」の文字を選び、書家の
石川九楊さんの監修により完成しました。
歴史を大切にしつつも現代風であり、
美しいロゴです。
21_21 DESIGN SIGHTのロゴデザイン
六本木にある美術館、
21_21DESIGN SIGHTの
ロゴデザインを手掛けたのは、
グラフィックデザイナーの
佐藤卓さんです。
こちらのロゴ、よく見ると
人の顔のように見えませんか?
ロゴのサイズを人間の目の幅に
設定することで、
「日常に潜む可能性を
デザインによって引き出す」
という美術館のコンセプトを
表現しています。
ちなみに、「21_21DESIGN SIGHT」
という名前は、
英語で優れた視力のことを
「20_20vision(sight)」と
表現することが由来しており、
「さらにその先を見通す場でありたい」
との思いで名付けられました。
シンプルなデザインの中にも
様々な意味合いが込められているロゴです。
ポーラ美術館のロゴデザイン
引用:美術手帖
箱根にあるポーラ美術館の
ロゴデザインを手掛けたのは、
グラフィックデザイナーの
長嶋りかこさんです。
2020年に旧ロゴからリニューアルされた
こちらのロゴ。
旧ロゴと新ロゴをよく見比べてみると…
新ロゴが、旧日本語ロゴと共に
小さく併用されていた、
英字のロゴタイプで構成されていることが
わかります。
「既に有る資源を活かす」という
ポーラ美術館の理念や姿勢を、
一からロゴタイプを作り直すのではなく、
これまで使用していた英字のロゴタイプを
抽出し、今後も使い続けることで
体現しています。
また、線と塗りのロゴタイプをセットにし、
左右対称または上下反対に配置することで、
近代と現代、自然と人工など、
異なる様々な双方を提示し、
私たちに問いを投げかける、
ポーラ美術館のあり方を表しています。
引用:ポーラ美術館
ロゴは媒体に応じて位置や大きさは
変化できる設計になっているため、
このように、ロゴの中に伝達したい
情報を組み込むこともできます。
引用:美術手帖
ショッピングバッグも
おしゃれでかっこいいですね。
既に有る資源を活かしながらも
新しい未来に向けて歩き出すような
光を感じる新ロゴ。
完成したロゴはシンプルで軽やかですが、
その裏にある思考の重みがロゴに
完成度と説得力をもたらしているのですね。
東京都現代美術館のロゴデザイン
引用:東京都現代美術館
東京都現代美術館の
ロゴデザインを手掛けたのは、
グラフィックデザイナーの仲條正義さんです。
こちらのロゴは、
MOTという言葉から連想される、
「もっともっと…」という
積極性を表しています。
上へ上へと上昇してゆくイメージから、
MOTのTの字が+(プラス)の形に
デザインされており、空を押し上げるような
力強い形をしています。
また、Tの字は、
「東京」の頭文字でもあります。
「MOT」という3語だけで
他のデザインとの差別化を図ることは
容易なことではないですが、
特徴的で印象に残る
仕上がりとなっています。
絶妙なバランス感覚で、
かっこいいロゴデザインです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
美術館の特徴や良さを引き出し、
形で表現するデザイナーの
凄さが分かる、素晴らしいロゴでした。
美術館の建築の特徴やロゴデザインの特徴を
さらに詳しくまとめた記事です。
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